テニスの基本をマスターする:よくあるミスを修正しよう

テニスにおいて、基礎の質はプレーのすべてを左右します。上達のスピードはもちろん、最終的にどのレベルまで到達できるかにも大きく影響します。

実力のあるプレイヤーでも、基本を見落としてしまうことで、本来のポテンシャルを発揮できないことがあります。

次のステップへ進む前に、もう一度基礎を見直し、しっかりと身につけることが重要です。

この記事では、「ベースラインに詰めすぎる」といったよくあるミスを取り上げ、それを修正することでよりバランスの取れた、コントロールの効いた効果的なプレースタイルへと進化できる方法を解説します。

テニスプレイヤーが犯しがちな5つのミス

どんなレベルのプレイヤーでも、基本的なミスをしてしまうことがあります。

これらのミスは長期的な成長を妨げる要因となり、気づかないうちに上達の限界を作ってしまうことも。

早い段階で修正することが、スムーズな上達への鍵となります。
ここでは、よくあるミスを紹介し、それを改善することでより速く上達し、本来の実力を引き出す方法を解説していきます。さあ、基礎をマスターしましょう!

1. ベースラインに近づきすぎる

問題点:
多くのプレイヤーは、ベースラインの上に立つことが「正しい」ポジションだと思い込んでいます。

理由としては、コートの配置やボールの軌道を十分に理解していなかったり、前に出ることで相手にプレッシャーをかけられると考えたりすることが挙げられます。
しかし、タイミングやフットワークに自信がない状態で前に出ると、逆にプレーが崩れやすくなります。
特に、高い打点でのショットを無理に処理しようとすると、バランスを崩しやすく、ミスを誘発しやすくなります。

修正方法:
もう少し後ろに下がることで、余裕を持ってボールに対応できるようになります。

ベースラインの後ろに少なくとも一歩、理想的には約90cm(3フィート)下がることで、特に相手がスピンの効いた深いボールを打ってきたときに、しっかり準備する時間を確保できます。
ただし、常に後ろにいるのが正解というわけではありません。
ショートボールが来たら、前に出て積極的に攻める柔軟性も必要です。重要なのは、状況に応じてポジションを調整すること。
少し下がることで余裕を持ち、ボールを見極めながら適切なタイミングで前に出ることが理想的なプレーにつながります。
下の画像では、それぞれのゾーンでどのようなポジションを取るべきかを視覚的に解説しています。

2. フットワークをおろそかにする

問題点:
フットワークは特に大人のプレイヤーが見落としがちな基本の一つです。
足を動かさずにその場で手を伸ばしてボールを取ろうとすると、ミスヒットやバランスの崩れにつながります。
どれだけ上半身の技術が優れていても、フットワークが不十分だとその力を活かすことができません。

修正方法:
ショットとショットの間に常に足を動かし、小さな調整ステップを使って最適な打点に入るようにしましょう。
「息が上がるくらい動くのが理想」と覚えておいてください。もしテニスの試合であまり疲れないとしたら、それは足を十分に使えていない証拠かもしれません。
フットワークを鍛えるには、サイドシャッフル、コーンを使ったクイックステップ、ラダー(はしご)トレーニングなどのドリルをコート外で練習すると効果的です。
コート上では、ボールの後ろにしっかり入ってからスイングすることを意識しましょう。
正しいフットワークが身につけば、タイミングが良くなり、バランスが向上し、ショットの選択肢も広がります。

3. グラウンドストロークのフォロースルーが一貫しない

問題点:
スイングが途中で短くなり、最後まで振り切れていないと、ボールがアウトしたり、ネットにかかったり、左右にブレたりすることがあります。
また、トップスピンが十分にかからず、安定感が損なわれる原因にもなります。
フォロースルーが一貫しない主な理由として、ボールを意図的にコントロールしようとしすぎることや、体が力みすぎていることが挙げられます。

修正方法:
スイングを最後までしっかり振り切ることを意識しましょう。
フォアハンドや両手バックハンドの場合は、ラケットを肩の上まで振り抜き、片手バックハンドの場合は高い位置でフォロースルーを終えるのが理想的です。
完全なフォロースルーを行うことで、スピン・コントロール・パワーが安定します。
インパクトの瞬間だけでなく、スイングの最終的なポジションにも意識を向けて練習しましょう。
TopspinProを使えば、フォロースルーの一貫性を高めることができます。フォアハンドのコツを詳しく解説した動画をチェックしてみてください!

4. 早い段階でスイングが大きくなりすぎる

問題点:
強烈なウィナーを決めたいという誘惑に駆られて、どのボールに対しても大きなスイングをしてしまうことがあります。
しかし、オーバースイングはコントロールを失いやすく、タイミングがずれたり、アンフォーストエラーが増えたりする原因になります。
特に、腕の力だけでパワーを生み出そうとすると、ショットが不安定になり、余計なエネルギーを消耗してしまいます。

修正方法:
まずは、小さくてコントロールされたスイングを身につけることが重要です。
クリーンなインパクトと正しい技術を優先し、安定してボールを狙った場所に打てるようになってから、少しずつスイングを大きくし、体全体を使ったスイングを習得していきましょう。
スイングの形を改善したいなら、安心してください!
初心者向けのグラウンドストローク解説動画を用意していますので、ぜひチェックしてみてください。

5. 戦略を持たずにプレーしてしまう

問題点:
初心者であっても、ただボールを返すだけではなく、意図を持ってプレーすることが重要です。
明確な戦略がないと、ラリーの主導権を握るのが難しくなります。たとえば、深いショットを狙う、相手の弱点(バックハンド側など)を狙う、クロスコートを多用するなどの基本戦略を意識するだけでも、試合の流れをコントロールしやすくなります。
戦略は複雑である必要はなく、「ボールをどこに落としたいのかを明確にする」だけでも十分な効果があります。
ターゲットを意識することで、スイングやフットワークも自然と適応していきます。

修正方法:
まずは、小さな目標から始めましょう。最も基本的な戦略として、「打つたびにどこを狙うかを決める」ことを意識するのがオススメです。
シンプルな計画を立てることで、自信がつき、プレーに明確な意図が生まれます。
基本戦略が身についたら、少しずつより高度な戦術を取り入れていきましょう。

ボーナス基礎編:適切な準備姿勢を怠ることのリスク

問題点:
つい足を止め、ラケットを下げたまま受け身の姿勢でボールを待ってしまうことはよくあります。
しかし、この静的な姿勢では反応速度が遅れ、次のショットに適切なポジションへ素早く移動することが難しくなります。

修正方法:
アスリートのような構えを意識しましょう。

・膝を軽く曲げる
・体重を足の前方(つま先寄り)に置く
・ラケットを前に構え、リラックスしたグリップを保つ


さらに、相手がボールを打つ直前に スプリットステップ(小さなジャンプ) を行うことで、筋肉が活性化し、すばやく動き出せるようになります。
この積極的な準備姿勢を取ることで、難しいショットにも対応しやすくなり、プレーの安定性とタイミングが向上します。

まとめ

基本を習得することは派手ではないかもしれませんが、長期的な上達の土台となる重要なスキルです。

ベースラインの後方に十分なスペースを確保すること、安定した準備姿勢を維持すること、スイングをコントロールすること、フットワークを向上させること、フォロースルーを一貫させること、そしてシンプルな戦略を用いること。

これらを組み合わせることで、より安定し、自信を持ってプレーできるようになります。

テニスは成長と同時にミスを伴うスポーツです。

こうした調整は最初は違和感があり、むしろミスが増えることもあるかもしれません。

しかし、忍耐強く練習を重ねることで、確実に成果が表れます。

基本を優先的に磨くことで、より高度なテクニックや戦略、プレースタイルを支えるしっかりとした土台が築かれ、最終的にはオールラウンドで手強いプレーヤーへと成長できるでしょう。

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筆者名ゾーイ・ジェフリー
TOPSPINPRO 常任コーチ
イギリスとアメリカで17年間テニスコーチとして活動
資格
テニス専門のの学士号、USPTAエリートプロ、PTRプロ、LTAレベル4、PPRピクルボールプロ