エマ・ラドゥカヌのようにプレイする – ゲームを向上させるための6つのシンプルなヒント

2021年の全米オープンは、パンデミックの影響が依然として強く、特別な空気が漂っていました。

そんな中、エマ・ラドゥカヌがグランドスラムを制覇するとは誰も予測できませんでした。

まさにニューヨークが必要としていたもの、ハリウッドでさえ信じがたいと呼ぶような、まるでおとぎ話のような出来事であり、その試合は私たちに夢が叶うということを思い出させてくれるものでした。

では、全米オープン開始時に世界ランキング150位だったエマ・ラドゥカヌが、どうやって史上初の予選通過者としてグランドスラムを勝ち取ったのでしょうか？

答えは「戦略」です。

多くのプレイヤーは、ただテニスボールを打つことに集中しているだけで、先のプレイを考えたり計画したりすることは難しく感じるものです。

しかし、初心者レベルであっても、エマのようないくつかのアイデアを実行するだけで、ゲームが大きく前進する可能性があります。

戦略と戦術 

戦略

【戦略とは】
全体的なゲームプラン。

エマの全米オープンでの戦略は「攻撃的な」テニスをプレイすることでした。

戦術

【戦術とは】
全体的な戦略を達成する方法。

戦術はいつでも変えることができ、直面している状況に基づいて変化します。

例えば、サーブを打つか返球するかで戦術は異なるでしょう。

エマの戦術の一部は次のようなものでした。

ベースライン内からのセカンドサーブのリターン、相手をコート内で動かす、攻撩的なセカンドサーブのスピード。

彼女の戦術の完全なリストについては、この記事の最後に紹介しています。

戦略と戦術は密接に関連しているため、実際にはどんな戦術も戦略になり得ますし、その逆もまた然りです。

後述する6つのヒントはどちらにも使用することができ、いつどのように実行するかは最終的にはあなた次第です。

状況を分析する 

戦略や戦術を試す前に、考慮して実践する必要がある重要な要素がいくつかあります。

これらは、試合中に戦術を設定し、進化させるために必要な状況認識を提供します。

対戦相手を読む

相手がどのようなショットを打ってくるのか、どのようなスピンを使用しているのかをすぐに認識できるようにしたいと考えています。

ボールが自分のコートの端でバウンドするときに驚かされることは避けたいです。

相手がボールを構えて打つのを見れば、それがどんな種類のボールなのかが分かり、準備するためのわずかな時間を得ることができます。

相手がプレッシャーにさらされているときを認識する

コート上で相手がどこにいるのかを見ることで、自分が攻撃しているのか防御しているのかを知ることができます。

相手の位置を早く認識できれば、適切なタイミングで攻撃または防御の準備を整えることができます。

ゲームを向上させるための6つのシンプルな戦略と戦術のヒント

1. 相手よりも長くラリーを続ける

これは非常にシンプルで、勝つための最も重要なヒントです。

もしあなたがボールをコート内に1回でも多く入れることができれば、常に勝つことができます。

私たちは、何でも返してくるプレーヤーと対戦したことがあります。

それはかなり苛立たしい経験ですが、その効果は確かです。

最もシンプルなヒントであり、実行するのが最も難しいとも言えますが、強く攻撃的なショットを打つことが有効です。

2. 相手をコートから遠ざける

これもまた非常にシンプルですが、テニスコートを支配する上で極めて重要なヒントです。

「コートから遠ざける」というのは、グラウンドストロークの打ち合いの際に、相手をベースラインの後ろ、またはコートの外に押し込むことを意味します。

もし相手がマーキングされたコートエリアに入ることができれば、その方が攻撃しやすくなります。

以下の図では、コート上の重要なポジションが強調されています。

ボールを深く、そして相手をニュートラルゾーンやディフェンスゾーンに保つために、高さとスピードを組み合わせて使います。

トップスピンがどのように役立つかは「レベルに関係なく、なぜテニスでトップスピンが必要なのか」や「トップスピンがもたらす8つの戦術的優位性」を参照してください。

3. 自分の強みを活かしてプレーする

これはエマがうまくやったことであり、彼女は攻撃的なテニスをするのが得意です。

自分にとって何が効果的なのか​​を知ることが大切です。

もしフォアハンドを打つのが好きなら、フォアハンド使ってできるだけ広範囲のコートをカバーし、バックハンドは避けましょう。

もしボレーが得意なら、自分自身をネットに近づけて、それを利点に使います。

4. 相手の弱点をつく

「相手の弱点を突く。」

これは裏技のような明白なものである場合もあれば、少しプレッシャーをかけてそれを見つけ出す必要があるかもしれません。

知っている相手と対戦する場合、コートに入る前に戦略を立てることができます。

もし対戦相手が初対面のプレイヤーなら、ウォーミングアップ中に彼らのゲーム内容を確認し、試合が進むにつれて戦術を調整する必要があります。

ウォーミングアップ中に、相手に様々なボールを打ち込みましょう。

対戦相手がどちらのサイドでハイボールとローボールをどのように打つかを見て、ボールを少し動かしてどれだけ進んで走るかを見てみましょう。

最初の数分で相手について多くを学ぶことができます。

また、自分の弱点を知ることも重要です。

もし対戦相手がボレーが苦手であることを見つけたとしても、あなたがネットサイドのボールの処理が得意でない場合、相手をネットに引き寄せる意味はありません。

自分の強みと弱みを活かしてください。

5. スペースにボールを打つ

これは非常に効果的な戦術です。

常にスペースを見つけてボールを打つなら、すぐに相手を疲れさせることができます。

プレイヤーの歩数が増えるほど、テクニックが崩れる可能性が高くなります。

1歩か2歩でも、プレーヤーはボールを見逃してしまう可能性があります。

相手が息切れしてプレッシャーをかけられていると、自分にとって有利になります。

6. ゲームに変化をつける

ゲームに多様性を加えます。

常に同じスピードと方向でサーブを打つと、相手に読まれやすくなりますので、スピードや配置を混ぜ合わせ、相手を警戒させましょう。

これはグラウンドストロークにも同様に当てはまります。

トップスピンがメインの場合は、スライスを少し加えてみてください。

最終的な目標は予測不能であることであり、相手に自分の次の行動を予想させない事です。

自分の次の行動や意図が予想外であることで、相手を常に警戒させ、自分のペースに巻き込むことが重要だということです。

まとめ：6つのシンプルな戦略と戦術のヒント

複雑な戦略は全ての人に適しているわけではありませんが、始めに一つの計画を実行するだけでも、成功への道筋をつけることができます。

戦術的な意識は、新しいことに挑戦し、自分自身を伸ばすことで、技術的なゲームも改善することができます。

これらのヒントをいくつか試し、ゲームに戦略的な枠組みを設けてみましょう。

エマが全米オープンで成功したのは、予選から決勝までトーナメント全体を通して、相手がどんな相手であっても、彼女は目の前の課題からブレることはありませんでした。

彼女は、対戦相手や状況に応じて、“攻撃的”なアプローチに合わせて戦術を調整しました。

これは驚くほど素晴らしい達成であり、最終的に彼女をグランドスラム優勝者に導く結果となったのです。

2021年全米オープンのエマ・ラドゥカヌの統計

エマ・ラドゥカヌはどのように試合をコントロールしたのでしょうか？

ここに彼女の戦術のより詳細なリストを紹介します。

ファーストサーブの一貫性

相手をディフェンスに追い込むのが効果的であるだけでなく、ラドゥカヌのファーストサーブは今年の全米オープンで最も安定していました。

成功率は72％で、トーナメント平均の63％を大きく上回りました。

セカンドサーブのスピード

ラドゥカヌの平均時速93マイルは、全米オープンの平均時速82マイルよりもかなり高かったです。

このスピードが、相手が彼女のセカンドサーブを攻撃することを防いでいました。

セカンドサーブのリターン

コンタクトポイント：ラドゥカヌ（全米オープン平均と比較）
ベースライン内：93%（47%）
ベースライン後方0-2m：7%（45%）
ベースライン後方2m以上：0%（8%）

ボールをベースライン内で受けることは、相手の時間を短縮する上で重要で、これによりセカンドサーブの返球の39%に対して相手が守備に回る結果となりました。

相手を動かす

ラドゥカヌは、フォアハンドやバックハンドのライン際のショットで相手を移動させ、常にディフェンスに追い込んでいました。

ポイントの最後に何が起こったかを示すウィナー（得点ショット）は重要ですが、それ以前に起きるショットも攻撃的な有利を得る上で重要です。

ラドゥカヌの場合、ライン際のフォアハンドとバックハンドが決定的でした。

トーナメント全体を通じて、ラドゥカヌは123回のライン際のフォアハンドを使い、そのうち41%が攻撃的かつ優勢な状況を生み出し、61%のポイントを獲得しました。

バックハンドでは、ラドゥカヌがライン際に106回打ち、そのうち38%が相手を防御に追い込み、58%のポイントを獲得しました。

この素晴らしいトーナメントで、ファンはラドゥカヌが安定したファーストサーブと早いリターン、正確なグラウンドストロークの組み合わせで試合をコントロールしていたことを決して忘れることはないでしょう。

しかし、ラドゥカヌの天才性は、これらを頻繁に使用してコントロールし、10試合連続で勝利したことです。

それこそがグランドスラムを勝ち取るテニスです。

記事 “How Emma Raducanu won the US Open” より引用